終活Q&A

~終活の疑問にお答えします~

終活の基本

 Q
終活とは何をするのですか?

 A

終活とは、人生の最期を意識しながら、これからの人生を自分らしく生きるための準備をし、亡くなった後に備えることです。
よりよく生きるために、①自分らしい人生をデザインし、②自分の情報をまとめ、
③人間関係の確認と財産の整理、を行います。
そして、亡くなった後の準備として、①人生の締めくくりをデザインし、②後を託す人が困らないように準備し、③荷物の処分などはできるだけ済ませておく、などを行います。

 Q
エンディングノートはどのようなものですか?

 A

エンディングノートとは、自分が亡くなったとき、あるいは病気や認知症などで判断力が衰えてしまったときに備えて、必要な情報や希望を書いておくノートのことです。遺言書のような法的な効力はありませんが、終活のさまざまな場面で役に立ちます。
エンディングノートは、終活を行うときの手引きとなるものです。また、ノートを書くことそのものが、終活ともいえます。

預貯金・保険・不動産

 Q
印鑑と通帳があれば、本人以外でも預金は引き出せますか?

 A

引き出せません。
銀行などの窓口で預貯金口座のお金を引き出せるのは、原則として口座の名義人本人だけです。たとえ家族であっても委任状などがないと、窓口でお金を引き出すことはできません。本人以外(代理人)が預金を引き出すには、「預貯金者(名義人)本人の本人確認書類」「委任状」「代理人の本人確認書類」などが必要です。
なお、金融機関によっては代理人登録制度があります。本人と代理人が一緒に窓口に行って所定の手続きをすることが必要です。

 Q
ペイオフとは何ですか?

 A

ペイオフとは、銀行等の金融機関が破綻した場合に、一定額の預貯金が守られる制度です。口座の名義人1人につき、その銀行等に預け入れた金額のうち1,000万円までと、その利息の払戻しが保証されます(当座預金などの決済性預金は全額が保証される)。
もしも、ペイオフが実行されたとき、1つの銀行等に同じ名義の口座を2つ以上持っていると、異なる支店であっても、同一名義の口座の残高はすべて合計されます。

 Q
10年以上放置したままの口座は解約したほうがよいですか?

 A

長い期間放置している預貯金や証券取引の口座を「休眠口座」といいます。2018年1月より休眠預金等活用法が施行され、2009年1月1日以降の取引から10年以上、取引のない預金は、福祉や地域活性化など民間公益活動に活用されることになりました。
休眠口座になっても残高がある場合、手続きをすれば預金を引き出すことができます。また、残高が0円になってもすぐに口座はなくなりませんが、長く休眠口座になってしまうと自動解約する金融機関も出てきています。ですから、利用していない口座は早めに口座解約の手続きをしておきましょう。

 Q
受取人がすでに亡くなっていたら保険金は誰が受取るのですか?

 A

受取人の法定相続人が死亡保険金を受け取ることになります。受け取る権利のある人が複数の場合は、当人同士の話し合いで誰がいくら受け取るか、決めることになります。話し合いで決まらないときには、各人が均等割した死亡保険金を受け取ることになることが多いようです(均等で分けるべき、という判例があるため)。受取人に指定していた人が亡くなった時には、必ず受取人の変更手続きをしておきましょう。

 Q
受け取った死亡保険金にはどのような税金がかかりますか?

 A

死亡保険金(災害死亡保険金・死亡給付金を含む)を受取った場合の税金は、契約者(保険料負担者)、被保険者、受取人が誰かによって、以下の税金がかかります。
①契約者と被保険者が同一の場合  :相続税
②契約者と受取人が同一の場合   :所得税(住民税)
③契約者、被保険者、受取人がそれぞれ異なる場合:贈与税

 Q
地震保険とは何ですか?

 A

地震保険とは、地震や噴火、津波によって、建物や家財が損害を被ったときに保険金が支払われる保険です。たとえば、地震による火事で家が焼失した、地震により家が倒壊した、津波により家が流された、などの損害です。
地震保険は単独では契約できませんので、火災保険にセットして契約する必要があります。火災保険の保険金額の30%~50%の範囲内で設定し、建物は5,000万円、家財は1,000万円が限度額になります。

 Q
実家の名義は、どのように確認できますか?

 A

まず、毎年4月頃に送付されてくる固定資産税の納税通知書を確認してみましょう。原則として納税通知書は不動産の所有者に送られてきます。名義人の横に「他〇名」等と記載されている場合は、その不動産が誰かと共有になっているということです。
相続したのに不動産の名義が変更されていない場合は、納税義務者として相続人のうちのひとりに納付書が送られてくることもあります。
現在登記されている確かな不動産の名義を調べるには、法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を調べることになります。ただし、登記簿を調べるには、地番が必要です。地番と住居表示は必ずしも同じではありませんので、法務局で地番を確認してください。

 Q
相続登記の義務化とは何ですか?

 A

現在、相続登記は義務ではありません。そのため、相続登記をしないまま所有者が不明になってしまった土地は、九州とほぼ同じ面積があるといわれています。このような土地は、土地の利活用や用地買収などの際に相続人を探すなどの手間とコストがかかります。

そこで、所有者不明土地の「発生の予防」と土地の「利用の円滑化」を目的に「民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法」が制定され、2024年4月1日から相続登記が義務付けられることになりました(住所変更登記は2026年度からの予定)。

相続登記の義務化後は、相続登記を行わない場合、10万円以下の過料を課せられることになります。あわせて、相続等によって土地の所有権をした人が、法務大臣の承認を受けて、その土地の所有権を国庫に帰属させる制度も創設されました。

 Q
相続税における土地の評価方法について教えてください

 A

土地の相続税の評価の方法には路線価方式と倍率方式があります。路線価方式を使うか、倍率方式を使うかについては、地域によって決まっています。

 

路線価方式の場合、土地の前の道路(=路線)につけられた価額(=路線価)に土地の面積を乗じて評価額を計算します。ただし、土地と道路の関係や、土地の形状等により補正が行われます。

 

倍率方式では、土地の固定資産税評価額に評価倍率表に定められた倍率をかけた金額が評価額となります。

個人の税金と年金

 Q
年金だけでも確定申告をしないといけないのですか?

 A

公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、その他の収入の所得金額が20万円以下の人は所得税の申告は必要ありません。ただし、公的年金等以外の所得がある場合は住民税の申告は必要になります。
公的年金等から源泉徴収されている所得税や住民税は日本年金機構に届けてある扶養親族数、公的年金から控除されている社会保険料などをもとに計算されています。それ以外に支払った社会保険料がある場合や、生命保険料控除、医療費控除等を受ける場合は確定申告をすると源泉徴収された所得税や住民税が戻ってくることがあります。

 Q
医療や介護の保険料は、どのように決まるのですか。

 A

医療や介護の保険料の決まり方は、加入している種類によって異なります。

①公的医療保険には大きく分けて、会社員等が加入する「健康保険」、健康保険に入れない人などが加入する「国民健康保険」、75歳以上及び65歳以上の一定の障がいのある方が加入する「後期高齢者医療制度」があり、年齢や就業状況によって加入できる制度は異なります。
・健康保険の保険料…本人の標準報酬月額(4月~6月の給料の平均)をもとに計算されます。計算された保険料を会社と本人が折半して負担します。
・国民健康保険の保険料…世帯ごとに、前年の1月~12月の合計所得金額、加入者数、年齢などをもとに計算されます。所得に応じた所得割と、世帯や加入者が均等に負担する均等割の合計になります。
・後期高齢者医療制度の保険料…保険料は所得割と均等割で計算されます。

②介護保険の被保険者は、65歳以上の「第1号被保険者」と40歳~64歳までの「第2号被保険者」に分けられ、保険料の決まり方や徴収方法が異なります。
・第1号被保険者の保険料…本人や世帯の所得で決まります。料率は住んでいる市町村によって異なります。
・第2号被保険者の保険料…所得に応じた保険料となります。加入している公的医療保険の保険料と一緒に徴収されます。

 Q
年金受給者ですが、確定申告をすると医療費控除が受けられるのですか?

 A

医療費控除は、所得税や住民税の確定申告を行うことで受けられます(ただし、所得税の確定申告をする場合は住民税の確定申告は不要)。
1月から12月までに支払った医療費の合計額が10万円以上(または、所得の5%のどちらか低い方)だった場合には、確定申告をすることによって税金が少なくなります。
医療費控除できる金額は、「医療費の負担額―民間医療保険からの補てん額-10万円(または所得の5%のどちらか低い方)」です。
この金額にその人の所得税率をかけると、還付される税金額を試算できます。
医療費控除の対象になるものとならないものがありますので、注意が必要です。

参考:「医療費を支払ったとき(医療費控除)/国税庁HP」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm

 Q
公的年金は何歳から受け取れますか?

 A

老後の年金の受け取り開始は、原則として65歳からです。ただし、老齢厚生年金の場合は性別や生年月日によって異なります。具体的には、男子で昭和36年4月1日以前生まれ、女子で昭和4年4月1日以前生まれの人は、特別支給の老齢厚生年金を、生年月日によって60歳、61歳、62歳、63歳、64歳から受け取れます。なお、公務員など共済組合の年金に加入していた女子は、男子と同じ受給開始年齢になります。
詳しくは、日本年金機構のHPで確認願います。「特別支給の老齢厚生年金」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/20140421-02.html#cms01

 Q
年金の繰上げとはどのようなものですか?

 A

老齢基礎年金および老齢厚生年金の受け取り開始年齢は原則65歳からですが、65歳よりも早く年金を受け取ることを年金の繰上げといい、一番早くて60歳から受け取ることができます。ただし、早く受け取れるというメリットがありますが、受け取る年金額が少なくなるなど、いくつものデメリットがあります。
年金を繰り上げた場合、1ヵ月当たり0.4%年金額が少なくなりますので、最大5年間繰り上げると年金額が24%も少なくなります(2022年4月1月以前に生まれた人の減額率は0.5%)。少なくなった年金を一生受け取ることになってしまうのが最大のデメリットです。
また、老齢厚生年金を繰り上げる人は、同時に老齢基礎年金も繰り上げることになります。
詳しくは、日本年金機構のHPで確認願います。「繰上げ請求の注意点」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-03.html

 Q
年金の繰下げとはどのようなものですか?

 A

老齢基礎年金および老齢厚生年金の受け取り開始年齢は原則65歳からですが、66歳以後に年金を受け取ることを年金の繰下げといい、最大10年遅らせて受け取ることができます。年金の繰上げの場合は年金額が少なくなりますが、繰下げの場合は1ヵ月当たり0.7%年金額が増えるというメリットがあります。そのため5年間遅らせて70歳から受け取ると42%、10年間遅らせて75歳から受け取ると84%も年金額が増えることになります。
一方、老齢厚生年金を繰り下げることによって年金額が増えた場合でも、その人が亡くなったことによる遺族厚生年金の額は、繰下げで増額される前の額の4分の3のままであるとか、65歳以降、年金を受け取らずに繰下げを待機している間に配偶者が亡くなって遺族年金の権利ができると、その時点で年金繰下げの増額率が確定してしまうなど、繰下げには注意点がたくさんあります。
なお、繰下げの場合は、繰上げと違い、老齢基礎年金だけ、あるいは老齢厚生年金だけという選択もできます。
詳しくは、日本年金機構のHPで確認してください。
「老齢厚生年金の繰下げ受給」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-05.html

高齢期の生活と成年後見制度

 Q
かかりつけ医は必要ですか?

 A

かかりつけ医とは、風邪などの日常的な病気の治療や健康管理などをしてくれ、必要な時は専門の医療機関を紹介してもらえる身近で頼りになる医師のことです。健康についてアドバイスをもらえる存在であるとともに、介護保険を利用するときに「主治医の意見書」を書いてもらったり、自宅で看取りするときに「死亡診断書」を書いてもらったりすることができるなど、人生後半期には欠かせない存在です。

 Q
親が認知症かなと思ったら、誰に相談したらよいですか?

 A

まずは、親の住む地域の「地域包括支援センター」に相談に行ってください。地域包括支援センターは、介護を含めた高齢者の暮らしについての困りごとに対する総合的な相談窓口です。認知症の方が利用できるサービス(介護サービスや自治体等の生活支援サービスなど)の利用について、アドバイスや手続きのサポートをしてくれます。
さらに、近所の人などに親の状況や自分の連絡先を伝えておき、何かあれば連絡してもらうよう、お願いしておくといいでしょう。

 Q
介護サービスを使うにはどのようにしたらよいですか?

 A

介護サービスを受けるには、要介護認定(要支援1~要介護5の7段階)を受けることが必要です。要介護認定を受けると、要介護度に応じた介護サービスを1~3割の自己負担で利用できます。また、要支援・要介護と認定されなくても、地域の高齢者向けサービスが利用できることがあります。
要介護認定の手続きについては、介護を受ける人が住んでいる地域の「地域包括支援センター」に相談しましょう。

 Q
成年後見制度はどのようなものですか?

 A

判断能力が不十分になった高齢者は、お金の管理や契約などができなくなり、必要のない物品を大量に買わされたりするケースがあります。成年後見制度は、高齢になって認知症などにより判断能力が衰えた人や知的障害のある人が、買い物などの契約のときに法的な面から支援を受けて、日常生活を守ってもらう制度です。守る立場の人を成年後見人(広義)といいます。
成年後見人が行う仕事は大きく分けて2つあります。ひとつは日常の生活が普通にできるようにしてあげる「身上監護」、もう一つは預貯金や不動産などについて、その取引を安全に行う「財産管理」です。また、成年後見制度には2つの制度があります。一つは既に判断能力が不十分な人が使う「法定後見制度」と、もう一つは将来、判断能力が衰えたときに備えて、元気なうちに「誰に、どういう内容で面倒をみてもらうか」という契約を結んでおく「任意後見制度」です。
法定後見制度では、サポートを受ける人の判断能力の程度によって補助・保佐・後見の3つに分かれています。一方、守る立場の人をそれぞれ補助人、保佐人、成年後見人(狭義)といい、守られる人の判断能力に応じた代理権や同意権、取消権をもってお世話します。

 Q
誰が後見人になるのですか?

 A

成年後見人になるのに、特別な資格は必要ありません。個人の場合、成人であれば、原則として成年後見人になることができます。また、弁護士事務所や司法書士事務所、成年後見業務を行っているNPO法人や社会福祉協議会などが法人として成年後見人を引き受けることもできます。
成年後見制度の法定後見制度を利用する場合には、家庭裁判所に利用の申立をしなければなりません。申立できる人は、守られる本人のほかに、配偶者、本人の4親等以内の親族などです。身寄りのない人については、市区町村長が申立することができます。
申立には申立書に、成年後見人になってもらいたい候補者(法人の場合は法人名)を書きます。配偶者や親族等の申立人が自分の名前を書いても構いません。家庭裁判所に決めてもらうこともできます。ただし、申立書に候補者名を書いたとしても、家庭裁判所が守られる人の財産や家族状況などから、候補者がふさわしくないと判断した場合は、法律や福祉の専門家等が選ばれるケースもあります。
任意後見制度ではお世話になる人の意思で、配偶者や親族など、あるいは成人以上であれば他人でも自由に契約を結ぶことができます。

 Q
成年後見制度の費用はどれくらいかかりますか?

 A

法定後見制度と任意後見制度によって異なります。
法定後見制度では家庭裁判所への申立に関する費用と、成年後見人への報酬があります。
①申立費用
申立費用は原則として申立人が負担します。申立や登記の手数料(約3,000円)と、切手代(約3,000円)、申立書に添付する診断書作成料、戸籍謄本、住民票などの取得費用がかかります。
②成年後見人への報酬
成年後見人の報酬は1年間ごとの後払いです。成年後見人は家庭裁判所に、後見等事後報告書とともに報酬の支払いの申立をします。家庭裁判所はそれを受けて、成年被後見人の財産や後見の事務量などから報酬額を決めます。大体の目安は月額20,000円からです。

任意後見制度では任意後見契約は公証役場で公正証書の形式で作成します。通常、任意後見契約の公正証書1件当たりの費用は2~3万円程度です。
判断能力が衰えて家庭裁判所が任意後見監督人を選任すると任意後見契約が発効します。任意後見人に支払う報酬は、前もって本人と任意後見人が自由に決めておきます。任意後見監督人への報酬は家庭裁判所が決め月額1万円程度からとなります。

葬式とお墓

 Q
一日葬や直葬とはどのようなものですか?

 A

最近はお葬式にかける日数が短くなる傾向にあります。
通夜を行わずお葬式を1日で行うスタイルを、一日葬またはワンデーセレモニーなどと呼びます。
また、自宅やホールでの通夜式やお葬式を行わず、直接火葬場の炉前でお別れをすることもあります。これを火葬式または直葬などと呼びます。住職にお経をあげてもらうこともあります。
ただし、住職によってはこのようなスタイルを認めないこともあるため、事前に確認しておく必要があります。

 Q
誰が喪主になるのですか?

 A

喪主は故人に代わって参列者を迎える葬式の主催者です。
誰が喪主になるかについて決まりはありませんが、一般的には血縁者が喪主を務めることになります。
喪主を施主という場合がありますが、厳密には施主は葬儀費用を支払う人を指します。つまり、喪主と施主が同一の場合もあれば、喪主と施主が別々の場合もあるのです。喪主と施主が同一の場合、葬儀社によって施主というところと、喪主というところがあるようです。
社葬の場合は施主が会社で喪主が遺族となりますが、会社を代表とする最高責任者として、社長や重役が葬儀委員長を務めるのが一般的です。

 Q
不祝儀袋(香典袋)の表書きは何と書けばよいですか?

 A

基本的に先方の宗教や宗派に合わせた表書きにします。
仏式で浄土真宗(真宗)以外は、四十九日までは、「御霊前」となります。四十九日を過ぎると表書きは「御仏前」となります。浄土真宗(真宗)のみ初めから「御仏前」を用います。他にも仏式でしたら、「御香典」「御香料」も使えます。
神式の場合は「御玉串料」「御榊料」、キリスト教は「御花料」を用います。
先方の宗教がわからない場合は無地の不祝儀袋に「御霊前」と書いて渡せば、失礼にはあたりません。
また、故人へのお供えとなる香典とは別に、通夜の際には「通夜見舞い」と書いて遺族への労いとして渡すこともあります。
香典も通夜見舞いも新札は避け、お札を裏にして袋に入れましょう。

 Q
お墓は相続人が引き継ぐのですか?

 A

お墓(墓地、墓石、利用権)や、位牌、仏壇、神棚などは祭祀財産と呼ばれ、相続財産には含まれません。民法上、このような祭祀財産を引き継ぐのは祭祀承継者(墓守)です。
祭祀承継者は相続人のうちの誰かになることが多いのですが、相続人に限定されるものではありません。
従来、お墓は長男が引き継ぐものと考えられてきましたが、承継者は長男でなくても、結婚して姓が変わった娘でも、甥や姪でも構いません。ただし、承継者の範囲は墓地の規約などで決められていますので確認をしてください。

祭祀承継者は、以下のような手順で決められます。
・被相続人が指定します。遺言に書くことが多いのですが、口頭でもかまいません
・被相続人の指定がない場合は、慣習により祭祀承継者を定めます
・被相続人による指定がなく、慣習が明らかでないときは、家庭裁判所が定めます

 

※ただし、「みなし墓地(山や畑などにある個人墓地や共同墓地)」の場合には、

通常の相続や土地登記の手続きが必要になる場合があります。

 Q
跡継ぎのいらないお墓はありますか?

 A

跡継ぎのいらないお墓とは、承継者(跡継ぎ)がいてもいなくても、お寺や墓地管理者が永代にわたり供養や管理をしてくれるお墓のことです。一般的には、初期費用の中に使用料や永代供養料、後々の管理料が含まれています。
跡継ぎのいらないお墓には、永代供養墓(墓地管理者がお寺)、集合墓・立体埋蔵施設(霊園管理者が寺院ではない)、納骨堂(屋内墓苑)、合葬墓(合祀墓)、樹木葬他たくさんの種類があります。
永代供養墓の場合、お寺や霊園が続く限り、契約の期限 (17年~50年など) まで供養を行い、期限後、骨壺から取り出した遺骨は合同墓に合葬(合祀)されます。合葬後は、合同法要で供養されますが、遺骨の取出しはできなくなります。

 Q
ペットが死んだらどのようにしたらよいですか?

 A

廃棄物処理法第2条第1項により動物の死体は「廃棄物」と規定されています。
動物の死体がある場合は清掃部局に連絡すれば引き取ってくれることがほとんどですが、状況により連絡先、料金の有無、遺骨の返還、埋葬など自治体の対応はバラバラです。
「廃棄物」として処理されることに抵抗を感じ、愛したペットを、弔いたいと思う人が増えています。方法としては以下の3つが挙げられますが、③を選ぶ方が多いようです。
①自分の所有地(庭など)に埋葬
②自治体に依頼…火葬してくれるところもあるが、ゴミとして処理するところも多い。
ペット専用の火葬炉を持つ自治体もある。料金は割安。
③民間業者や寺院に依頼…火葬は個別(遺骨引取り可能、埋葬も個別可)か、合同(遺骨引取り不可)、合同埋葬可)か、など自分の望む方法を選択できる。ペットと一緒に入れるお墓もある。

相続について

 Q
自分が死んだら誰が相続人になりますか?

 A

誰が相続人になるかは、民法で決まっています。
亡くなった人に配偶者がいる場合は、常に配偶者が相続人になります。そのうえで、亡くなった人に子や親、兄弟姉妹がいる場合には、その人たちが配偶者とともに相続人になります。配偶者以外は、相続人となる順番(順位)が決まっています。
相続人の第1順位は、亡くなった人の子や孫などの直系卑属です。第1順位にあたる人がいない場合は、第2位順位として、亡くなった人の父母や祖父母などの直系尊属が相続人になります。そして、第1順位にあたる人も第2順位にあたる人もいない場合は、第3順位として、亡くなった人の兄弟姉妹や甥姪が相続人となります。

 Q
遺留分とは何ですか?

 A

遺留分とは、一定の相続人が最低限受取ることができる相続分のことです。
相続が発生した時に遺言書がある場合には、そこに書かれた割合が優先されますが、1人に全財産を相続させるなどの内容では他の遺族が困ることがあります。そこで遺留分の割合は法律で定められていて、①配偶者、子:法定相続分の半分、②父母(被相続人に配偶者がいる場合):法定相続分の半分、③父母(相続人が父母のみの場合):法定相続分の1/3、④兄弟姉妹:遺留分の権利なし、となります。
 なお、遺言や贈与によって遺産をまったく、または、わずかしかもらえなかった相続人が、財産を受け取った他の相続人に対して遺留分の請求をすることにより、遺留分の割合までは、他の相続人から金銭で受け取ることができます(遺留分侵害額請求)。遺留分の請求には期限があり、「遺留分があることを知った時から1年」と「相続が発生してから10年」のタイミングで時効が設定されています。

 Q
遺産分割の対象となる財産にはどのようなものがありますか?

 A

被相続人が残した財産の中には、遺産分割の対象となる財産と、ならない財産があります。
遺産分割の対象となる財産には、「本来の相続財産」と「今までに贈与された財産」があります。本来の相続財産とは、亡くなった時に被相続人が保有していたプラスの財産(権利)とマイナスの財産(義務)を指します。プラスの財産とは金融資産・不動産・ゴルフ場などの会員権・貴金属や書画骨董・家財などです。一方マイナスの財産とは、クレジットカードや医療費などの未払金や住宅ローンなどの借金、他人の借金の保証人の立場などです。
また、結婚時に持参金としてもらったお金や自宅の購入費など、生活の資本として今まで贈与された財産も遺産分割の対象とすることができます。生活の資本とは、前述のほか独立するための事業資金や、資格取得のための費用など、生活の基礎を作るためのお金を指し、これらは相続財産の前渡しと考えられています。ただし、遺留分請求の計算においては、過去の生前贈与の持ち戻しは過去10年分に限定されます。
 一方、死亡保険金や死亡退職金のように受取人が指定されているものは、受取人の財産となりますので、原則として遺産分割の対象にはなりません。
 また、仏壇やお墓、家系図など祭祀にかかわるものは、祭祀財産といって祭祀承継者の財産となります。これらも相続財産とは別に考えます。

 Q
遺言書を書くときに注意しなければならないことはありますか?

 A

遺言書を作成するときにはいくつか注意しなければならないことがあります。
①書き方の決まりを守る
最近は自筆証書遺言を書く人も増えていますが、遺言には法律で定められた書き方の決まりがあり、その決まりにしたがって作成されていない遺言は無効になってしまいます。また内容を訂正する場合にもその方式が厳格に決められているので、十分な注意が必要です。
②遺留分に配慮する
子や親など一定の相続人には最低限の遺産をもらえる遺留分という権利があります。遺言の内容がこの遺留分を守っていない場合、遺留分の権利を持っている相続人は、他の相続人へ遺留分の侵害額(守られなかった遺留分の金額)を金銭で請求することができます。そのため相続人の遺留分を侵害しないよう、遺産の分け方に注意を払うことも大切です。
③遺言執行者を指定しておく
遺言執行者とは、財産分割や名義変更などの具体的な相続の手続きを行う人のことです。
相続人の中に遠方に住んでいる人がいたり、相続人同士の仲が悪かったりした場合に、遺言執行者をしておくと手続きがスムーズに進みやすくなります。
④家族への感謝などを添えておく
遺言書に遺産の分け方の理由や家族へのねぎらい、感謝の言葉を書いておくことで、その分け方に不満がある人の気持ちをやわらげることにもつながります。

有効な遺言を遺すためには、弁護士などの専門家に相談しながら作成することをおすすめします。

 Q
遺言は書いておいたほうがよいですか?

 A

遺言書は大きく2つの理由で書いておいたほうが良いでしょう。
1つ目は、遺言は家族間の遺産争いが起きることを防止するために有効であることです。
亡くなった後に、家族が遺産を巡って争うことは悲しいことですが、遺言者は遺言によって自分が亡くなった後の財産の分け方を決めることができるので、残された家族の遺産争いを避けることができます。
特に、子や親がいない夫婦のどちらかが亡くなった場合、亡くなった人の兄弟姉妹にも相続権が生じるため、残された配偶者と兄弟姉妹間に遺産争いが起こることがあります。そのような場合でも、遺産の全てを配偶者に相続させるという遺言を書いておけば、兄弟姉妹には遺留分がないため、財産をスムーズに配偶者に引き継ぐことができます。
2つ目は、民法で定められた相続人以外の、お世話になった人や団体に財産を贈ることができることです。生前の感謝の気持ちを遺言によって具体化することができるのです。
他にも遺言があると、遺産分割協議が不要になるため相続登記などの手続きがスムーズにできるなど、遺言には数多くのメリットがあります。

 Q
相続時精算課税制度とは何ですか?

 A

相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子や孫に贈与する場合に選択できる制度です(年齢は1月1日現在)。
贈与財産の評価額が累計2,500万円までの贈与については、贈与税は非課税となり、2,500万円を超えた分については一律20%の贈与税が課税されます。相続が発生したときに、その贈与財産を相続財産に含めて相続税を計算し、すでに納めた贈与税は精算します。
この制度のメリットには、子や孫が必要な時にまとまった財産を贈与しやすいこと、ある子や孫に一定の財産を生前に贈与することができるため、その財産について相続争いが生じなくなることなどがあります。
なお、一度相続時精算課税制度を選択すると、その後暦年贈与に戻すことはできなくなるため、選択の際には税理士などに相談しながら慎重に行うことをおすすめします。

相続時精算課税制度の詳細については、国税庁のホームページでお読みください。
「No.4103 相続時精算課税の選択|国税庁 (nta.go.jp)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm

03-6264-4655

平日10時~12時 13時~16時