自分が死んだら誰が相続人になりますか?

誰が相続人になるかは、民法で決まっています。
亡くなった人に配偶者がいる場合は、常に配偶者が相続人になります。そのうえで、亡くなった人に子や親、兄弟姉妹がいる場合には、その人たちが配偶者とともに相続人になります。配偶者以外は、相続人となる順番(順位)が決まっています。
相続人の第1順位は、亡くなった人の子や孫などの直系卑属です。第1順位にあたる人がいない場合は、第2位順位として、亡くなった人の父母や祖父母などの直系尊属が相続人になります。そして、第1順位にあたる人も第2順位にあたる人もいない場合は、第3順位として、亡くなった人の兄弟姉妹や甥姪が相続人となります。


遺留分とは何ですか?

遺留分とは、一定の相続人が最低限受取ることができる相続分のことです。
相続が発生した時に遺言書がある場合には、そこに書かれた割合が優先されますが、1人に全財産を相続させるなどの内容では他の遺族が困ることがあります。そこで遺留分の割合は法律で定められていて、①配偶者、子:法定相続分の半分、②父母(被相続人に配偶者がいる場合):法定相続分の半分、③父母(相続人が父母のみの場合):法定相続分の1/3、④兄弟姉妹:遺留分の権利なし、となります。
 なお、遺言や贈与によって遺産をまったく、または、わずかしかもらえなかった相続人が、財産を受け取った他の相続人に対して遺留分の請求をすることにより、遺留分の割合までは、他の相続人から金銭で受け取ることができます(遺留分侵害額請求)。遺留分の請求には期限があり、「遺留分があることを知った時から1年」と「相続が発生してから10年」のタイミングで時効が設定されています。


遺産分割の対象となる財産にはどのようなものがありますか?

被相続人が残した財産の中には、遺産分割の対象となる財産と、ならない財産があります。
遺産分割の対象となる財産には、「本来の相続財産」と「今までに贈与された財産」があります。本来の相続財産とは、亡くなった時に被相続人が保有していたプラスの財産(権利)とマイナスの財産(義務)を指します。プラスの財産とは金融資産・不動産・ゴルフ場などの会員権・貴金属や書画骨董・家財などです。一方マイナスの財産とは、クレジットカードや医療費などの未払金や住宅ローンなどの借金、他人の借金の保証人の立場などです。
また、結婚時に持参金としてもらったお金や自宅の購入費など、生活の資本として今まで贈与された財産も遺産分割の対象とすることができます。生活の資本とは、前述のほか独立するための事業資金や、資格取得のための費用など、生活の基礎を作るためのお金を指し、これらは相続財産の前渡しと考えられています。ただし、遺留分請求の計算においては、過去の生前贈与の持ち戻しは過去10年分に限定されます。
 一方、死亡保険金や死亡退職金のように受取人が指定されているものは、受取人の財産となりますので、原則として遺産分割の対象にはなりません。
 また、仏壇やお墓、家系図など祭祀にかかわるものは、祭祀財産といって祭祀承継者の財産となります。これらも相続財産とは別に考えます。


遺言書を書くときに注意しなければならないことはありますか?

遺言書を作成するときにはいくつか注意しなければならないことがあります。
①書き方の決まりを守る
最近は自筆証書遺言を書く人も増えていますが、遺言には法律で定められた書き方の決まりがあり、その決まりにしたがって作成されていない遺言は無効になってしまいます。また内容を訂正する場合にもその方式が厳格に決められているので、十分な注意が必要です。
②遺留分に配慮する
子や親など一定の相続人には最低限の遺産をもらえる遺留分という権利があります。遺言の内容がこの遺留分を守っていない場合、遺留分の権利を持っている相続人は、他の相続人へ遺留分の侵害額(守られなかった遺留分の金額)を金銭で請求することができます。そのため相続人の遺留分を侵害しないよう、遺産の分け方に注意を払うことも大切です。
③遺言執行者を指定しておく
遺言執行者とは、財産分割や名義変更などの具体的な相続の手続きを行う人のことです。
相続人の中に遠方に住んでいる人がいたり、相続人同士の仲が悪かったりした場合に、遺言執行者をしておくと手続きがスムーズに進みやすくなります。
④家族への感謝などを添えておく
遺言書に遺産の分け方の理由や家族へのねぎらい、感謝の言葉を書いておくことで、その分け方に不満がある人の気持ちをやわらげることにもつながります。

有効な遺言を遺すためには、弁護士などの専門家に相談しながら作成することをおすすめします。


遺言は書いておいたほうがよいですか?

遺言書は大きく2つの理由で書いておいたほうが良いでしょう。
1つ目は、遺言は家族間の遺産争いが起きることを防止するために有効であることです。
亡くなった後に、家族が遺産を巡って争うことは悲しいことですが、遺言者は遺言によって自分が亡くなった後の財産の分け方を決めることができるので、残された家族の遺産争いを避けることができます。
特に、子や親がいない夫婦のどちらかが亡くなった場合、亡くなった人の兄弟姉妹にも相続権が生じるため、残された配偶者と兄弟姉妹間に遺産争いが起こることがあります。そのような場合でも、遺産の全てを配偶者に相続させるという遺言を書いておけば、兄弟姉妹には遺留分がないため、財産をスムーズに配偶者に引き継ぐことができます。
2つ目は、民法で定められた相続人以外の、お世話になった人や団体に財産を贈ることができることです。生前の感謝の気持ちを遺言によって具体化することができるのです。
他にも遺言があると、遺産分割協議が不要になるため相続登記などの手続きがスムーズにできるなど、遺言には数多くのメリットがあります。


相続時精算課税制度とは何ですか?

相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子や孫に贈与する場合に選択できる制度です(年齢は1月1日現在)。
贈与財産の評価額が累計2,500万円までの贈与については、贈与税は非課税となり、2,500万円を超えた分については一律20%の贈与税が課税されます。相続が発生したときに、その贈与財産を相続財産に含めて相続税を計算し、すでに納めた贈与税は精算します。
この制度のメリットには、子や孫が必要な時にまとまった財産を贈与しやすいこと、ある子や孫に一定の財産を生前に贈与することができるため、その財産について相続争いが生じなくなることなどがあります。
なお、一度相続時精算課税制度を選択すると、その後暦年贈与に戻すことはできなくなるため、選択の際には税理士などに相談しながら慎重に行うことをおすすめします。

相続時精算課税制度の詳細については、国税庁のホームページでお読みください。
「No.4103 相続時精算課税の選択|国税庁 (nta.go.jp)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm


03-6264-4655

平日10時~12時 13時~16時