資格を活かす現場

「医療・看護・介護で役立つ終活の知識」

看護師・ケアマネジャー・終活アドバイザー・AFP
松尾 孝子

看護師、ケアマネを経て現在は介護職の養成校で、医学、看護、介護関連の講師をしています。
私自身の経験で終活の知識が特に役に立ったのは、終末期の介護の場面におけるエンディングノートの活用法や、終末期にどう備えるか、そして医療に関する意思表示や死後の手続きについてです。終末期医療や緩和ケアなどの講義の際にも参考になりました。
終活アドバイザーの役割は、相談者の高齢期からの生活に寄り添うことです。医療や看護、介護職の方の活用術を私なりに考えてみました。

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医療職なら、退院後や在宅で生活する時に利用出来る社会保険制度や、地域のサービス、高齢者施設や介護サービスについての利用方法や費用についてなどアドバイスできるでしょう。看護師、特に訪問看護師なら、医療保険制度や延命治療と尊厳死、事前指示書、遺族への給付や、障害のある家族への対応などが参考になります。
ケアマネジャーは、介護保険の利用者やそのご家族と身近に接することが多い介護サービスの専門家ですが、近年は身寄りがいない一人暮らしの高齢者の方が増えてきています。公的年金や公的医療保険制度などの社会保険についての正しい知識や、成年後見制度について実際に利用するときの手順や注意点を学んでおくことで、幅広いアドバイスができます。
また、高齢者の日常を支える専門家ですから、消費者被害や詐欺の現状を知っておくと、高齢者の生活を守る事ができるでしょう。詐欺の手口は多様化しています。振り込め詐欺はよく知られていますが、リフォーム詐欺や利殖詐欺、通販詐欺、送り付け商法など手法は多岐にわたっています。被害に合った時の対処法も学ぶことができるので、それらを知っておくと適切な対応が出来るでしょう。
また、終活アドバイザーの知識があれば、介護や医療の専門家以外の専門家につなげるコーディネーターとしての役割も果たせます。患者さんを看取ったあとの死後の手続きは、死亡届など必要書類の準備、社会保険や税金の手続きなど煩雑です。お葬式やお墓などについても、一連の知識があれば自信を持って相談に乗ることができるでしょう。

 
終活アドバイザー講座の中で、特に「誰でも知っておくと必ず役に立つ」と思ったのは、自分や家族にもしものことがあった時に必要な手続きと、お葬式やお墓のことです。
ふだんはなかなか思いが至らない分野ですが、いざ家族や自分が亡くなった時に、慌てたり悲嘆にくれたりして必要な手続きをしておかないと、後で困ったことになる場合があります。しかし、死後の手続きの流れや、必要な届出や必要書類、社会保険や税金の手続き、相続に関する知識があれば、慌てないで対応できることでしょう。
 

また、お葬式やお墓は、古いしきたりが残る一方で、近年は新しい形態が増えている分野です。終活アドバイザー講座では、お葬式の基本的な知識やマナーだけでなく、新しいお葬式の形や事前相談についても学べます。お墓についても、お墓の役割や埋葬に関する基本的な知識に加えて、最新のトレンドや様々な選択肢、故郷のお墓の引っ越しや墓じまいの手順について知ることができます。都市部では核家族化が進み、お葬式やお墓・埋葬について家族や親族に相談することもままならないため、このような知識や情報を得ることは、仕事だけでなく、ご自身やご家族の暮らしにとっても役に立つことと思います。
 

このように、終活アドバイザー講座のカリキュラムには、高齢期を迎える人や高齢者に寄り添う人すべてに知っておいていただきたい内容が盛り込まれています。終活の基本は「自助・共助・公助」です。自分らしく最後まで生き抜くために、学び備えていくことが必要ではないでしょうか。

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