資格を活かす現場

「地域福祉の分野で役立つ終活の知識」

終活アドバイザー・AFP
石川 智

私は3年前ほどから、「エンディングノートの書き方セミナー」や「終活講座」「高齢者とお金」などのテーマで、主に老人大学や地元の社会福祉協議会の依頼を受けて、講演活動をしてきました。参加者は、セミナー慣れした女性が大半で、多いときには100人ほどになることもあります。大きな会場で、マイクを使って和気あいあいと、90分間喋るというのが最近の講演スタイルでした。

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そんな時、行政の人権対策課から「終活セミナー」の依頼を受けました。私は「人権」と「終活」がうまく結びつかず、行政の担当者に、このセミナーにどんなことを求めているかをお聞きしたところ、「地域の繋がりが希薄になっているため、地域が一体感を得られるような講座を開きたいのです。終活というテーマならば皆さんが興味を持つのではないか、と課内で話し合いました」というご意見をいただきました。

 

確かに私が住んでいる人口2万人ほどの「地方の町」の中心部でさえ、人と人の繋がりが希薄になっているという現実を目にすることがあります。高齢化が進み、地域の商店街に人が来ることも極端に減り、古くから住む住民でさえ、寂しさを感じることでしょう。過疎地域を「限界集落」と呼びますが、「町の中心部でも過疎化する」ということを実感します。

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ですから、行政の担当者の想いは痛いほど理解できました。そこで私は「エンディングノートを書くことで、絆を作る」というテーマを提案しました。「地元の知り合いと一緒にわいわいとエンディングノートを書いてみる」という内容に共感していただき、このテーマで決まりました。

広報を始めてみると非常に反応がよく、当日はなんと50人を超える人がセミナーに参加されました。行政の担当者や、地域のお世話係の人に聞くと、「地域の勉強会などで、こんなに人が集まることはない」ということでした。

私も90分間、心を込めて、終活の重要性や、エンディングノートを書こうとする行動そのものに大きな意義がある、という話をしました。

終了後のたくさんの「ありがとう」の言葉に、この地域に絆が戻ることを確信しました。

その後も、4つの地域で「エンディングノートを活用して絆を!」というテーマで喋りましたが、その度に30~50人の地域住民が公民館などに集まってくださいました。行政の担当者からは、来年度もいくつかの地域でお願いします、と言われています。

4. セミナーの様子

このほかにも「視覚障がいのある人と支援者のためのエンディングノート書き方セミナー」や、「単身高齢者の終活ためのエンディングノート活用」といった内容によるセミナーのご依頼もありました。

障がいのある人にも、単身世帯の高齢者にも、当然ですが「終活」は必要です。しかし、その当事者の「想い」を聞く場や知る機会がないのもまた事実であり、それゆえに終活という言葉と、障がいのある人・単身世帯の高齢者が結びつかなかっただけであると、私は思っています。

あるとき、その人が話す内容を「ら・し・さノート」に一緒に書いていくというワーク中に、今までほとんど自分のことをヘルパーや支援者に話さなかった障がい者や高齢者が、生き生きと過去の自分・これからの自分を語る姿を目にしました。それを見た瞬間、「ら・し・さノート」の活用法のさらなる可能性を感じたものです。

そして、終活をすることは「自分自身がよりよく生きる」ためだけでなく、その人の周りの人たちもハッピーにしていくんだなぁと改めて確認できました。

今後も、地域福祉の分野でも、終活の意義を説いて、「ら・し・さノート」の活用法を広めていきたいと思っています。

そして、こういった私の活動から、終活に興味を持つ方が増えて、その人たちがご自分の町で終活の意義を広めて下さることを期待しています。

 

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